海外のスピリチュアリストを迎えて
シルバーバーチ最後の啓示
四章 海外のスピリチュアリストを迎えて
シルバーバーチの交霊会には、これまで世界のあらゆる国からの訪問者を迎えている。もしその全てを一堂に集めたら、国連と同じ様相を呈していたことであろう。これまでにも海外からのゲストを紹介してきたが、本章ではオーストラリアと南アフリカからの代表者が訪れた時のシルバーバーチとの対話を紹介しよう。
オーストラリアから
ドン・デービスならびにメアリー・デービス夫妻にとっては、シルバーバーチ交霊会への出席は英国旅行の最後を飾るハイライトであった。まずシルバーバーチが歓迎の言葉を述べる。
「霊的真理を普及し、神の働きかけが二千年前に終ったわけではないこと(※)、大霊が今も昔もそしてこれからも全ての子等とつながっていることを立証することに尽力している人をお迎えするのは、私にとって大きなよろこびですが、この英国から遠く離れた国々からお迎えするのは、ことのほかうれしく存じます。
お二人は大きな祝福を受けておられます。暗闇の中から叡知の輝きの中に導かれ、霊的な道にしっかりと足を置かれ、内在する霊的能力の開発にいそしまれ、ご自分が救われたように他人を救う仕事を続けておられるからです。
申し上げるまでもないことですが、私たちの使命は───〝私たち〟というのはベールを隔てたそちらとこちらとで地球浄化の大事業に関わっている協力者すべてを意味します───生命というものが、そちらでもこちらでも、驚異的な可能性を秘めていることを一人でも多くの人に教えてあげることです。
あなた方がなさるサービスの行為の一つ一つがお仕事への祝福を加え、背後で協力している霊団との結束を強化している事実を知っていただきたいのです。
せっかくご出席くださったこの折に、あなた方が決して孤軍奮闘しているのではないこと、真理普及の大目的のために結集している霊の大軍が背後に控えていることをお耳に入れることができて、とてもうれしく思います」
※───キリスト教にはバイブルが神の啓示の全てであり、それきり啓示に蓋をされたという教説がある。クリスチャンがスピリチュアリズムを非難する根拠の一つがそこにある。
ドン・デービス「そのことを直接あなたからお聞きして満足この上もございません。オーストラリアというある広大な国には、当然のことながら幾多の問題があり、本日はいろいろと質問をたずさえてまいりました。
あれほどの大きな国になりますと、私たちの仕事など、焼け石に水の、微々たるものに思えてなりません」
「微々たるものなんかではありませんよ」
「時にはそう思えてならないことがあるのです」
「そんなことはありません。あなた方は宇宙で最強の力の貯蔵庫なのです。霊の力です。その力を無きものにしたり、覆したり、進行を止めたりすることのできるものは何一つ、誰一人いません。
忘れないでください。地上生活が終りを迎えた時、たった一人でいいのです、その人が霊的な自我に目覚めるその手引きをしてあげていたら、今回の人生が無駄ではなかったことになるのです」
「それは素晴らしいことです」と夫妻が声を揃えて言う。
「今わたしたちが携わっている仕事の途方もない重大な意義を忘れてはなりません。地上の無数の人間の魂を束縛し抑圧してきた誤った教義の歴史を一から書き直そうとしているのです。
本来ならば肉体と精神と霊の調和が生み出す生きる喜びを味わい、自分がいかなる存在なのか、いったい何者なのか、いずこへ向かっているのかを理解することによって得られる豊かな余裕の中で生きられるものを、迷信に等しい誤った教義が、基本的な霊的真理すら理解することを不可能にしてしまったのです。 だからこそ、あなた方に苦労が絶えないのです。ですが、苦労が絶えないということは結構なことなのです。ドン、あなたはラクな道の方がいいですか」
「とんでもありません!」
「私たちも、この地上圏と連絡が取れるようになるまでには大変な困難に遭遇してきたのです。それを一つ一つ克服してまいりました。今や地上全土に霊の光が行きわたっております。霊の光が届かない国は一つもありません。
霊の道具として第一線で働く者は、時として人に知られないようにドアを閉め切って、ひっそりと会合を持たねばならないこともあるでしょう。それでも大事業は着々と進行します。無きものにすることのできる者はいないからです。
ですから、困難というものを、霊の真価を発揮させるための挑戦課題として歓迎することです。人間も潜在的には地上で、最強のパワーを秘めているのです。その力で克服できないほどの悪条件、障害、難題は地上には発生しません。しかも、それより一段と高い次元のパワーを呼び寄せることもできるのです」
「その力がどれほど私たちを救ってくださったことでしょう」
「苦難は克服すべきものとして持ってこられるのです。それを克服することによって、内部の霊性がよく強く自覚されるようになるのです」
「そこが有り難いところです」
「気を締め直してください。あなた方は地上の混乱や戦争、悲劇や憎しみ合いの根源である物欲第一主義が生み出す見苦しい悪感情のかずかず───どん欲・強欲・愚かしい利己主義等々───との大々的な闘争にたずさわっているのです。
大きな仕事が待ち受けています。背後には物質界のあらゆる勢力を結集してもなお太刀打ちできない強大な力が控えていることを忘れずに励んでください。何一つ恐れるものはありません」
「オーストラリアの私たちのサンクチュアリ(集会所)はあなたの教えを基本にしております。関係者一同があなたへの愛の気持を伝えてほしいと言っておりました」
「有り難く頂戴いたしましょう。私は愛のみを糧としているからです。もっとも、私が語る教えは私自身のものではありません。私はマウスピースにすぎません。永遠に不変の霊的真理を取り継いでお届けしているまでです。こうして大霊の大使として活躍できることを、私たちは光栄に思っているところです。
それだけに、私たちに託された信頼をみじんも傷つけないようにすることが、私たちの大きな責任であることになります」
「私たちのサンクチュアリには有望な治療家が集まるようになり喜んでいるところですが、本日あなたのお言葉を伝えれば、みんな大いに勇気づけられると思います。感動すら覚えることでしょう。
一つだけお聞きしたいことがあります。あなたの教えによって私たちがこれほど影響を受けているのに、そのことをあなたがご存知ないはずはないというのが仲間たちの意見なのですが、いかがでしょう、あなたは私たちがやっていることをつぶさに見ていらっしゃると思ってよろしいでしょうか」
「私は大勢の指導霊の一人でして、私が適切と思う方法で最善を尽くしているところです」
「私たちは、たまたまの巡り合わせで、あなたの教えに浴することになった・・・・・・」
「〝たまたま浴した〟という言葉が適切かどうかは分かりませんが、結果的にこの大事業にたずさわることになった人々のことは、私たちはその生活のすみずみまで承知しております。
協調関係で推進するものである以上は、知っておく必要があるからです。みなさん方も私たちのことを知ってくださると有り難いのですが・・・・・・
知識の領域を広げ、一人でも多くの病める人を癒やし、一人でも多くの喪中の人を慰め、人生の灯台としての真理の光を少しでも大きくして、人生に疲れた人に生き甲斐ある道を見出させてあげようとする真摯な努力、真剣な祈りが無駄に終ることは絶対にありません。
必ずや何らかの応答があります。あなた方は二人きりで仕事をなさっているのではありませんよ。霊の大軍の一員なのです。私たちの背後に、そしてさらにその向こうにも、たぶんあなた方には理解の及ばないほどの霊格を身につけた高級霊の集団が幾重にも連なって控えているのです。
あなた方も、この私も、そして大事業に参加している者すべてが、そうした霊団の援助をうけることができるのです。唯一それを制約するものがあるとしたら、それはその人の受容力、吸収力の程度だけです。
霊性を開発するほど、美と光輝と崇高さが自分のものとなります。教会やシナゴーグや寺院や礼拝堂に通うよりもはるかに大きなものを成就させてくれます。霊力を発揮させるのです。
教会は無味乾燥な教義しか説きません。それが、実は、霊性を開発させるどころか、窒息させてしまうのです。
怖がることは何もありません。あなた方には為すべき立派な仕事があります。お二人が結ばれたのも偶然ではありません。霊的計画の一つだったのです。現在の情況も霊界からの導きです。グループが結成されたのも霊団の力によるのです。
さあ、元気を出して、どこででも、可能なかぎり霊的知識を説かれるがよろしい。受け入れようとしない人もいるでしょう。そういう人には心の中で涙を流してあげなさい。
せっかくのチャンス、掛けがえのないものを手にする好機を失ったのですから。
が、たった一人の魂に目を覚まさせることができたら、あるいは、たった一人の病人を癒やしてあげることができたら、そして無知の暗闇の中に叡知の光を灯してあげ、
背負っている重荷を少しでも軽くしてあげることができたら、それはあなた方がこの世に生まれてきた目的を果たしていることになるのです」
「そうなれば素晴らしいことです」 とドンが言うと───
「ほんとにそうなるのです。あなた方は二人きりではないのです。私たちの誰一人として自分一人だけという者はいません。みんな大霊団の援助を受けているのです。それに気づくか気づかないかは関係ありません」
「あなたの教えの特徴的なものとして〝霊が正常であれば、当然、精神も身体も正常となります〟というのがあります。ただ疑問なのは、優秀な霊媒でよく病気をして医者の世話になっている人がいることです。
あなたのおっしゃることの意味は、霊が正常であれば精神や身体に関わる法則、たとえば食習慣や精神的なしつけは無視しても構わないということでしょうか」
「いちばん最初に戻ってご説明しましょう。人間は肉体と精神と霊から構成されております。これを本当の意味での〝三位一体〟と言います。三者が一体となっており、一つが三者によって成り立っているわけです。この三者の間に調和が取れていなければならないことは言うまでもありません。
健康 wholeness とは〝欠けたところがない〟という意味からきたもので、つまりは調和が取れているということです。もし肉体に欠陥が生ずれば、それは自動的に三位一体の体制を崩すことになります。
霊とは生命の活力源です、霊はすなわち生命であり、生命はすなわち霊です。霊がすべてに優ります。霊は主で、物質は従です。ですが、その霊が地上で顕現しようとすると、精神と肉体を通さねばならないという点で、まず制約を受けます。そして霊と精神と肉体の二者の間の相互関係からさまざまな問題が生じます。
霊というのは、精神と肉体から切り離して〝これが霊です〟といってお見せできる性質のものではありません。同じことが精神についても肉体についても言えます。三者は切り離すことができないのです。
さて私は、おっしゃる通り、霊が正常であれば精神も身体も正常となると申し上げております。同じように、肉体と精神が最大限に機能していれば、おのずと霊性が最大限に発揮されます。が、
残念ながら、そういうケースは地上では滅多にお目に掛かれません。それで病気、不調、痛みが生じます。すべては三者の調和が崩れたことに起因します。
実を言いますと、もともと霊界において意図された心霊治療は、そうした病気を癒やすことを唯一の目的として考え出されたものではありません。
その病気の源となっているもの、つまり内的な不完全性を修正することが目的であり、その障害物となっているものを取り除くパワーをもった生命力を治療家を通して流し込むということで、そこが肝心な点です。
といって、私たちは、副作用が出ないかぎりは他の治療法も頭から退けるつもりはありません。副作用があると知りつつ、むやみに注射で一時しのぎをするやり方は感心しないということです。大切な肉体と精神と霊の調和の原理に反するからです」
「私たちが食するものの多くが汚染されていることも問題です」
「おっしゃる通りです。ですが、霊的に正常で精神も正常であれば、その程度のことは問題のうちに入りません。といって、毒入りのグラスを一杯あおっておいて、〝オレは霊と精神が正常だから大丈夫だ〟などというバカなまねをしてもらっては困ります。そういう意味でないことはお分かりでしょう。常識の問題です。
ですが、所詮、地上では完全は望めません。完全は永遠の時を要するプロセスだからです。でも、少しでも不完全を少なくし、発展を求めていく努力を怠ってはなりません。
日常生活でも心の持ち方を正すことです。そうすれば生活形態が正されます。そうなれば神の摂理を犯すこともなくなります。過去の過ちを正さないかぎり、道は拓けません。
私たちの仕事は、地上の人間に〝正しい生き方〟というものがあることを教えることです。間違った生き方をしていて、それで体調を崩したら、心霊治療家のところへ行けば治してくれると思うのは間違いです。心霊治療はそういうものではありません。
人間は責任ある存在です。正しい生き方を知らないといけません。摂理を犯したら、その責任として代償を払わないといけません」
メアリー・デービス「私たちもこの道でよく間違いを犯します。熱心がすぎて反撥を買い、落胆します。霊的真理の持ち出し方が間違っているのではなかろうかと反省することがあります」
「あなたがたはこれからいろいろと学んでいかねばならない子供と思えばよろしい。前途には永遠の時があるのです。何も、そう焦ることはありません」
「人生は短いのに、しなければならないことが沢山あって・・・・・・」
「私のほうから言わせていただきますが、あなた方が霊的真理に目覚めるまで、私たちはどれほど待たねばならなかったことでしょう。大霊はこの宇宙をずっと管理なさってきて、何が今いちばん大切かをご存じなのです。
あなたが心を悩ませることはありません。最善を尽くしておればよろしい。私たちから要望することはそれだけです。
過ちは誰でも犯すものです。その過ちから学べばよろしい。誰でも転ぶことがあります。すぐに立ち上がって、また歩み始めればよろしい。せっかく説いても聞き入れてくれない人もいるでしょう。が、理解してくれる人の方がきっと多くなっていくはずです。
社会を一度に変えることはできません。同じように、人(の生き方)を変えることは容易ではありません。変えるのはあなたではなくて、当人自身であることを忘れてはいけません。あなたは真理を知った者としての責務を果たしていれば、それでよろしい。他人のことまで責任を負わされてはいません。
ですから、ベストを尽くすことです。いつどこにいても人のために役立つことを心掛けることです。あなたが授かったものを他人に分けてあげるのです。よろこんで受け取ってくれれば喜びなさい。
受け取ってくれなければ、その人の思う道を歩ませてあげなさい。あなたが手を差しのべてあげるべき人が連れてこられるようになります」
南アフリカから
初めて交霊会に招かれた南アフリカの人類学者 (氏名は公表されていない) がまず次のように挨拶した。
「今こうして自分がこの交霊会の場に出席していることを思うと、言葉に言い尽くせないほどの嬉しさで胸がいっぱいです。あなたの霊言と出会ってもうずいぶんになります。
あなたという存在を尊敬しておりますし、お説きになる思想にも感銘を受けております。このサークルについてはずいぶん前から知っておりました。私との交際や人類学の仕事が縁となってあなたの教えを知るようになった人が大勢おります。
ぜひ申し上げたいことは、この六週間にわたって数か国を訪れた私の旅の最後の夜が、こうしてあなたの交霊会への出席という夢のような体験で祝福されて、感激しているということです。心からお礼を申し上げます」
「私のほうこそ、あなたをお迎えして、とてもうれしく思っております。いつもそうなのですが、ただのマウスピースにすぎない私が皆さまのお役に立っていることを知ると、嬉しさで心が満たされます。
あなたは霊的真理という大きな知識をお持ちです。人類学者としてのお仕事そのものが、いかなる国民も、いかなる国家も、いかなる宗教も、大霊すなわち神の力を独占できないということを証明しております。
私たち霊界の者は肌の色にはまったく関心がありません。肌の色は肉体だけのもので、魂には色はありません。黄色の魂、赤色の魂、黒色の魂などというものは存在しません。魂はその始源においてはすべてが同等です。一人ひとりが、あなた方が神と呼んでいる大霊の表現なのです。
霊的観点からすれば、地上のいかなる民族の間にも障壁はありません。障壁があるとすれば、それは地理的なもの、物質的なもの、人間が勝手にこしらえたものばかりです。皮膚の色とか国家の違いは、いかなる意味での優越性も生み出しません。優越性はサービスと霊性の開発と熟達度によって決まるのです。
私たち霊界の者は地上人類を一つの霊的大家族と見ております。全体を一つにつなぎとめる霊的な絆があることを実感しております。
そのこと、すなわち全人類は霊性において一つであるということを知らねばなりません。地上生活の目的は人のために役立つことをする・・・・・・
つまりお互いが助け合うということ、そして、そうした生き方の中で霊的に、精神的に、そして物質的に、あらゆる束縛から解き放たれることです。
いかなる形にせよ、束縛されるということは、いかなる原理に照らしても間違いです。
その点あなたは心眼を開かれ、より大きな生命の世界の存在による驚異的現象をその目でご覧になり、霊力の恩恵にあずかっておられます。あなたはその恩恵へのお返しとして、あなたが導かれたように他の人々を導く努力をなさってこられました。
心の底からの正直で真摯な叫びが無視されるということは決してありません。こちらの世界には地上界のために役立つことをしたいと願う霊たちの感知装置が張りめぐらされております。善行にうんざりなさってはいけません。
あなたは今、いろいろと難題を抱えた国にお住いです。が、動機に私欲がなければ、暴力や流血なしに解決のつくものばかりです。動機が肝心です。私心があってはなりません。同胞が手にすべき当然の権利を獲得するために尽力するということであらねばなりません。
あなたがたずさえておられる真理は、他の国と同じようにあなたの国においても根づくべき真理です。あなたはそれがお出来になる方だからこそ、そこまで申し上げるのです。今日のこの交霊会があなたのお役に立てば、私はもう何も申し上げることはありません。これが私の本来の使命だからです」
ここでプライベートなメッセージを述べたあと、シルバーバーチがこう述べてその日の会をしめくくった。
「霊団の援助についての一抹の不安が万々一あなたの心をよぎるようなことがあったら、その時はいったんその疑念を止めて、これまでにあなたがたどってこられた道を振り返ってごらんになることです。間違いなく、目に見えない力による指示があなたをここまで導いてきていることに気づかれるはずです。
その事実をあなたの生活の自信になさることです。これまで導いてくれた力が、これからも導いてくれないはずはない、と。
ただ、これまでも幾度か申し上げてきたことですが、背後霊には背後霊なりの手段と手順があることを忘れないでください。人間の勝手な都合に合わせるわけにはいかないのです。しかし、決して見捨てることだけは致しません。
あなたなりの最善を尽くしていれば、それでよろしい。霊界と地上界とで協力し合って、地上の暗部に光をもたらすことができます。無知に代わって知識を、迷信に代わって真理を、病に代わって癒やしを、そして喪に代って激励を授けてあげることができます。
それこそが私たち大霊団が組織された目的にほかなりません。高級界の進化せる存在───ただひたすら自分を役立てることだけを目的として地上圏へ降りて来ている高級霊の間では、地上世界も必ずや現在の不健全な状態から脱して、美しさにあふれた世界となるとの確信があるのです。
あなたは本日こうして私たち同志と互いに語り合うことができたことを大霊に感謝すべきです」
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