音楽を語る
シルバーバーチの霊訓 十
六章 音楽を語る
(神の計画の中で音楽は一種名状しがたい役割を演じているようである。ある日の交霊会でシルバーバーチは英国の音楽界で指導的地位にある音楽家に次のように語りかけた)
あなたが音楽を通じて世の中のために貢献していらっしゃるその実態は、あなたご自身にはまず理解できないことです。音楽、なかんずくインスピレーション的な曲は、あなた自身はごく自然な形で作曲しているつもりでも、魂を癒し慰め刺激し鼓舞する特質を具えているものです。
それはそれなりに魂の琴線に触れて、五感を通じて得られるものよりはるかに偉大な生命の荘厳さがあることを認識させます。
これから先どこで演奏なさる時も、あなたは偉大な目的のための道具であること、あなたに感謝の気持ちを伝えられない大勢の人々に心の調和と同情と激励と幸福と健康をもたらす一助となっていることを思い出して下さい。
こちらの世界へお出でになれば、大変な楽しみがあなたを待っております。と申しますのは、霊界には今のあなたには理解できない性質と卓越性を持った音楽が存在するからです。地上でまだ一度もお聞きになったことのないオクターブがあります。
シンフォニ―もあります。コンチェルトもあります。オーケストラもあります。最高の作曲家や演奏家が無数にいます。地上にはほんのわずかしかおりません。
地上で大作曲家と言われている人のすべてがこちらへ来ているわけですが、その巨匠がその後さらに向上進化しているのです。鑑賞力を持った人なら立派な音楽をいくらでも聴くことが出来ます。
ミュージックホールは霊界が誇る財産といってもよいほどです。地上のいかなる楽器でも表現できないオクターブの音をあなたも聴くことになるのです。
それから、もちろん地上を豊かにする音楽はみな霊界を始源としております。人間がこしらえているのではありません。演奏家も作曲家もみな一種の霊媒なのです。
🕊
───本日こうして出席させていただきましたことを大へん光栄に存じます。あなたの教えが私の人生において素晴らしい啓示となっていることを是非とも申し上げたいと思っておりました。
「そのことを私と一緒に神に感謝しようではありませんか───私は神の使いとなったことの光栄とその好機を与えていただいたことを、そしてあなたと奥さんはその真理を授かることが出来たことを、です。
何十年か前、私は同志もなくたった一人でこの地上へやって参りました。是が非でも地上人類に霊的実在の存在を教え、霊力の働きかけの場を設立する必要があるとの理由から、私が霊界においてそれまで獲得したものをお預けして、
(次元が異なるが故の)困難な条件のもとで、この地上へ戻ってくれないかとの要請を受けたのです。それを私は挑戦のつもりでお引き受けしました。
今夜あなたから、私が光栄にも伝達させていただいた教訓───私が考え出したものではないのです───があなたの人生で大きな啓示となっていることをお聞かせくださいました。そのことに私は感謝したいと思います。
と申しますのは、そのことは私に愛念を覚えさせて下さる方がまた一人増えたことを意味するからです。それは私にとって大へんうれしいことなのです。
これより先あなたには、ご自身がこれまでに恵みを受けられたように他の人々に恵みを施す機会が次々と与えられることでしょう。その機会を逃さないことです。と言って私は、あなたを始め私の同志のどなたにも、熱狂的な伝道者になってほしいと思っているわけではありません。
しゃにむに他人を信じさせようとなさることは期待しておりません。後で平静を取り戻した時にはもう忘れているような、一時的な興奮状態の群集心理につけ込む非理性的手段で真理を説いて下さることは望みません。
私が申し上げているのは、あなたにはあなたとのご縁を通じて援助の手を差し伸べるべき機会が与えられることになるということです。その時にあなたなりの最善を尽くせばよいのです。地上世界には為さねばならないことが山ほどあります。
物的財産は一時的な所有物にすぎません。所有物といっても真に自分のものではなく、ただの一時的保管物にすぎません。一方、霊的財産は錆びることも色あせることもありません。永続性があります。
人のために自分を役立てることほど立派な宗教的行為はありません。それが霊の通貨(コイン)なのです。自分より恵まれない人のために手を差しのべていれば、そのうち自分の生きるべき道がきっと啓示されます。あなたが窮地にあって啓示を受けられたように、窮地に置かれた人があなたの手の届くところまで導かれてくるようになるでしょう。
🕊
(別の招待客が耳障りな現代音楽の話を持ち出して、インスピレーションが形態を変えた結果なのかと尋ねた。すると───)
インスピレーションが変わることはありません。インスピレーションは片時も休むことなく送られております。ただ、それを受け取る用意の出来た者だけが受け取っているにすぎません。波長がそれに合わなければ受け取れないということです。インスピレーションは休みなく送られております。霊力と同じく、地上へ顕現する通路を求めております。
要するに波長の一致の問題です。地上には音楽、絵画、その他あらゆる芸術分野に先駆者がいます。その人たちは時代に先んじすぎているために、在世中は一般から理解してもらえないことがあります。が、時代が進むにつれて理解力の水準が上がり、その先駆者たちに正しい評価が為されるようになります。
しかし、そのことは地上でよく生じる音楽の俗悪化には当てはまりません。それはむしろ今日の地上を蝕んでいる狂暴化の傾向と結びついた問題です。
🕊
───現代という世代が音楽に影響しているのではないかと思っておりました。
「物質を霊から切り離すことは出来ません。物質的なものが霊的なものへ、霊的なものが物質的なものへと、互いに反応し合い影響し合っているからです。あなたの身体は霊に影響を及ぼし、あなたの霊は身体に影響を及ぼしております。両者は隔絶したものではありません。」
🕊
───(スイスの精神医学者の)ユングは内部にあるものは必ず外部に出るものであると述べています。現代の気違いじみた音楽にはその例証といえる要素があるのでしょうか。内部にあるよりも外部へ発散してしまった方がよいのでしょうか。それが狂暴性を発散させることになるのでしょうか。
「いえ、残念ながらそれは、ごく当たり前の反応にすぎません。物的なもの、一種の利己性、つまり他人の幸せに対する完全な無関心の表れです。貪欲が巾を利かしているのです。自分たちの地上生活を自ら蝕んでいる狂暴性の原因はそこにあるのです。それが素行の面のみならず音楽や芸術、その他ありとあらゆる生活面に表れているのです。」
シルバーバーチ
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